「風の谷幼稚園」で大切にする4つの基本
体ごと遊ぶ。
額に汗を浮かべ、泥んこになって転がりながら遊びます。そのかたわらで花や草を摘み、虫を追いかける子ども達。童歌を歌いながらの、のどかで穏やかな遊び、木登りや崖すべり、林の中への探索。あやとりにコマ回し、缶ぽっくりに竹馬。鬼ごっこ、ラグビー。
遊びを通して友達とつながり、仲間と遊ぶことで遊びが膨らみ楽しさが増大します。そして、遊びの世界を共有することで連帯感が育ち、また楽しく遊ぶために、人と折り合うことの必要性も学びます。遊びを通して養われる集中力、想像力、そして身体的発達。あらためて言うまでもなく、遊びの中で、子どもの人間性の基本部分が多様に育っていきます。
手を使う。
紙、粘土でいろいろなものを作ります。のこぎりやかなづちを使って木を組み、船や車、汽車を作ります。ひつじの毛を織ったり、編んだり。野菜や果物を育てて、本物の美味しさを味わったり、自分たちで、料理して食べたり。動物を育てることにも挑戦。
子どもは、自分の手がものをつくり出し、育てることのできる手であることを実感したとき、自分の可能性を感じ、自信を持ちます。その自信を丁寧に積み上げて、ゆるぎない自分づくりにつなげていきたいと考えています。
いっぱい歩く。
とにかくいっぱい歩きます。幼稚園の周りの、山や谷や原っぱはもちろん、道なんかなくったって大丈夫。どんどん歩いて道を作ります。毎日が遠足。毎日が冒険、毎日がドキドキワクワク。
一歳は一歳の歩くペースがあり、三歳は三歳の歩くペースがありますが そのペースがその年齢の「もの」を認識するペースなのです。大人とはまったく異なる子どもたちの目、その目にしっかりものを写し、それを認識できるようにしてやるためにも、子どもの歩くペースを大事にしてやる必要があります。歩くことが可能になる2.3歳児。歩けるようになったことで、環境と関わりながら対象を意識し自発的にものに働きかけていくようになります。つまり、歩くことは意思を形成していく上で重要な意味を持っているのです。さらに、歩いて目的の場所につくという行為は、すぐに結果が得られないということでもあり、行為と時間の関係を意識することになります。そしてそれは持続力を育てることにもつながります。もちろん歩くことは体力づくりの基本です。健康なからだとこころを育てるために、 幼児期はことのほか、歩くということを大事にしたいと考えています。
親も一緒に。
幼稚園の中に、お母さんたちの部屋があります。幼稚園での子どもの様子、のぞいてみませんか?みんなで、子育ての悩み、話し合ってみませんか?たとえば、絵本の読み聞かせのサークルをつくったり、講師を招いて編物や染色の講習会を開いたり。時には教育講座で子どもについて勉強したり…なんてことも。
心優しく、素直で健康で、どんなことにもくじけないそんな子どもに育ってほしい。子どもを思う親の願いは、いつの時代も同じです。けれど、そんな願いもともすれば投げ出したくなるような現実。溢れる育児情報の中で、親として不安や戸惑いに振り回される毎日。そんな時、身近に考える方向を少しばかりアドバイスしてくれる人がいて、子育ての悩みを語り合え、共通する思いに共感しながら、少しでも親として成長していく自分を感じとれたら、どんなに子育てが楽しくなるだろうと思った事はありませんか?幼稚園と家庭、幼稚園と地域―――子どもを取り巻く大人たちの連携があってこそ、子どもたちは安心して育っていけるのです。私たちは、幼稚園が子育ての水先案内人として、ちょっとばかり手助けをして、親と子が一緒に育っていける場所になったらいいなあと考えています。