第21回 創設20年目の節目~天野先生のひとりごと~

 気がつけば20年。
 開園に向けて、あちこち走り回っていたのがつい昨日のように感じられるのだが、20年という歳月がいつの間にか過ぎていた。
 第1回の入園児、3歳で入園した子どもたちが、今年大学を出て就職している。川崎の小学校の先生になったという報告もあった。
 昨年は高校2年生になった桜井くん(西東京代表)と堀田くん(福島代表)が甲子園に出場し甲子園の砂をお土産に届けてくれた。また、最近マスコミを賑わしている久保くんも風の谷の卒園児。
 そして、ヒップホップダンスでは、日本大会を勝ちぬいて世界大会に出場する子が7人(眞田 響、眞田 薫、渡辺 華、池田理大、坂本萌南、四條眞規、安永千代子)。和太鼓の世界でも、高校2年生の見目萌ちゃんが全国大会でその演技を披露する。また、新国立劇場でオペラの歌い手として活躍しているのは6年生の吉田 悠くん。
 卒園した子どもたちから、機会ある毎に報告が届いているが、皆自分の世界を持って我が道を一歩一歩着実に歩いている。
 風の谷で育った子どもたちは、広い心と強い意志と人への優しさをにじませて成長している。そんな子どもたちの成長を確かめられる幸せをしみじみ感じている。

5月13日。同窓まつりが行われた。
 私が和光幼稚園時代に関わった野村くんから、「今年風の谷は20年になるので、お祝いをしたい」と言う申し出が3月にあった。彼は音楽家。風の谷の卒園生ではないけれど彼の申し出を受けて、同窓まつりの内容は音楽を主にしたものにすることにして計画を進めた。
 彼は、幼稚園が出来て間もない頃、幼稚園の力になりたいとコンサートを開いてその収益全額を運営の足しにと寄付してくれたこともある。
 私の創った風の谷幼稚園を心から大事に思ってくれている人である。
 そして、当日はタカサキシティバンドの鈴木くん(サックス演奏者)と二人で心に沁み渡る4曲を演奏してくれたのだ。
 そのうちの1曲は、当日の朝7時に出来あがったと言う私へのプレゼント曲だった。甘く優しく切ない声で歌う野村くんの思いが伝わって来て胸が一杯になってしまった。

 5月13日同窓まつりの前日、5年生になった小山東悟くんと四條眞規ちゃんが私に渡したいものがあると言って夕方になって顔を見せた。
 久しぶりに会う小山東悟くんは相変わらず体中からエネルギーが溢れていた。その東悟くんが差し出したのは「詞・曲小山東悟と書かれた“風と緑の幼稚園”」の楽譜だった。
 東悟くんがピアノの前に座ってピアノに触れると小鳥のさえずりが聞こえ爽やかな風にほほをなでられているような感じになった。前奏に心が奪われているうちに眞規ちゃんが歌い出した。透き通った声が林の中を通りぬけ空に広がって行く、まさにそんな感じだった。胸が熱くなり涙がこみあげてきた。感動すると胸がジンとして声も出せない状態になった事はあっても、ただただ涙がこみ上げて来るのは初めての経験だった。

 かぜとみどりのようちえん ともだちといっぱいわらったよ かぜとみどりのようちえん とりとはなもわらう ジャングルコースでひろったきのみ ポケットはいつも たからばこなのさ

 ジャングルコースでひろったきのみ ポケットはいつも たからばこなのさ かぜとみどりのようちえん ともだちといっぱいうたったよ かぜとみどりのようちえん とりとはなもうたう

 曲といい詞といい、情感込めて歌う声といい、風と緑に包まれて育った感性豊かな心を持った子だからこそのものだと思う。
 この歌を聴いた園児たちは、一度で口ずさめるようになっていて機会ある毎に鼻歌の様に口ずさんでいる。歌と心がピッタリ合うようだ。

 20年間「園歌」はなかった。まさにこの歌は20年目にして「園歌」としてやってきたように思える。