高校一年生の願いごと~天野先生のひとりごと~

 7月2日、高校一年生になった子どもたちが数人やって来て「今試験中なので試験勉強の場として幼稚園を使わせて欲しい」と言う。

 あまりにも唐突な申し出に何が何だか分からないまま「構わないけど」と答えた。内心、本当に勉強するのかなという疑問はあったが「おやつくらいは出してあげるね」と声をかけておいた。

 どこでやるのだろう?と思いながら見ていると、年長児の教室から机と椅子をデッキに運び出し、畑の方を向いて教科書を広げている。年長児の椅子からお尻がはみ出し、長い足は机の下には収まらず足を開いたまま机に向かっている。大きくなった体には座り心地は悪いはずなのに、真剣な顔で勉強している姿が何ともいとおしく感じられた。

 勉強の邪魔をしないように職員室に戻ると、30~40分の間に次から次へとやって来て10人を超える人数になっていた。進学した高校はそれぞれ違うのにメール(SNS)で連絡を取り合っていたらしい。

 小学生の頃は、幼稚園に来る機会を作れたが中学生になり高校生になると部活が忙しくて全く無理だったと言う。今回は試験期間中で、部活がないからこの機会に幼稚園に行こうという事になったらしい。

 久しぶりに会った仲間。会えばきっと話に花も咲くだろうと思っていたのだが、まじめに勉強している姿には驚いた。

 人の入れ替わりはあったものの、3日間この状態が続いた。

 幼稚園の子たちは「七夕の集い」という行事の中で笹飾りに願いごとを書いた短冊を飾っている。そこで、高校生たちにも「みんなも幼稚園の頃には短冊に願いごとを書いて飾ったんだよね。みんなも書いて見る?」と水を向けると、幼稚園の頃、短冊に書いた願いごとを思い出しながら16歳になる今の願いごとを短冊に書き始めた。

 

 次世代リーダー育成道場の試験に合格!!(あやこ)

 

 百人一首全首と大親友になって、もっとかるたが強くなれます様に(ちさ)

 

 ダンス部で全国大会に行けますように(はると)

 

 甲子園に行けます様に(ひびき)

 

 皆の記録をのばせますように(陸上部マネージャのみさと)

 

 カーデザイナーになれますように(かずき)

 

 インターハイにでる!!(けいご)

 

 ハンドボールの全国大会に出て活躍できます様に(みお)

 

 英語の成績を上げて上位になる!英語を話せるように頑張って外国人とカナダで沢山話せます様に(れいな)

 

 「ありがとう」と「ごめんなさい」が素直に言える人でありますように
「何のために学ぶか」を見失わず好きな事を一生思いっ切り学べる人生でありますように(みまり)

 

 目標が見つかります様に(かな)

 

 この日、演奏会のチラシを届けに来てくれた中学1年生のとうごくんにも短冊を渡すとさらさらと書いていた。

 

 ピアノを一生弾き続けられますように(とうご)

 

 それぞれが笹の枝に短冊をつけて願いが叶うようにと両手を合わせた。

 子どもたちの書いた願いごとを見ながら、幼稚園時代に書いた願いごと、カブトムシになりたいとか、キティーちゃんになりたいとか、お花屋さんになりたい、というのとは違って具体的な目標を持てるようになった子どもたちの意気込みに触れて何とも嬉しい限りであった。

 この子たちの10年後の願いごとは何になっているだろうかと、期待をしながら試験勉強3日目は解散となった。

 

 

「七夕の願いごと」の記事はこちら