運動会

競い合う楽しさ、力を出しきる充実感、仲間との一体感・・・
そんなことを子どもたちに伝えていきたい運動会。日常の活動を土台にした約2週間の取り組みです。

競い合いの楽しさを子どもたちに伝えたい
風の谷幼稚園の運動会のめざすもの
運動会プログラム
連絡帳から:挫折を乗り越えたとき(父母から寄せられた運動会の感想より)



競い合いの楽しさを子どもたちに伝えたい
世間では「競争はよくないこと」「競い合わせると負ける子が出て可哀相」といった考え方もあるようですが、風の谷では競い合うことの楽しさを子ども達に伝えていきたいと考えています。とはいっても競い合いや勝敗の内容の理解は各年齢によって大きく異なります。

3歳児は、自分が一番だと思えば一番になってしまいますし、自分は速かったと思えば充分それで満足できてしまいます。

4歳児になると、勝った負けたという意識はあるものの、まだ「とっても速かった!」の言葉が自分に向けられていれば、それなりに満足することができます。一番が2人いても3人いてもたいした矛盾にならないこともあります。かと思えば一番にこだわり、一番になれないのなら『やりたくない』と言う子もいます

それが5歳児になると、着順の意味への関心が高まってきますが、その分「勝ち負け」に対するこだわりも出てきて、絶対勝てる相手としか競わなかったり、負けそうになると途中でその競い合いを放棄したり、ふざけて「本気出していないから負けたんだ」と負け惜しみを言ったりします。中には遺伝子のせいにする子も出てきますが、「勝ち負け」へのこだわりを超えて「ハラハラ ドキドキ」を楽しめる子どもになったらどんなにいいだろうと考えます。


勝ったり負けたりがあるからこそ、「今度こそ!」があり「どうすれば勝てるか」があり「じゃあ努力しよう」になるのだと思うのです。
あの子に勝ってこの子に負けて、皆で競争して「ああ楽しかった」と笑顔で言える子どもになって欲しいのです。

幼稚園の運動会は、日常の遊びや体育活動を土台にしていますので、2週間足らずで短期集中的に取り組みます。



風の谷幼稚園の運動会のめざすもの

運動会の目指している内容は大きく分けると4つあります。

(1) 体育活動(とぶ、はしる)や集団遊びなど、日常生活で培った、身体的、精神的発達を元に、持てる力を出し切ったという充実感を味わえるようにする。
(2) 全園、あるいは学級みんなで取り組む楽しさと、集団としての盛り上がりを持つことで一体感を強める。
(3) 大勢の観客(父母)が見ていることで、程よい緊張感をもちながら、張り切って取り組めるようにする。
(4) 秋の日の和やかな雰囲気を家族で楽しむ機会にする。



運動会プログラム

1. はじめの会
2. とんで はしって 鳥組
3. のぼって ジャンプ 花組
4. なわとび・走りなわとび 風組
5. 玉入れ 父母
6. みんなあつまれ 未就園児
7. ねことねずみ 花組
8. ことろことろ 鳥組
9. 走れ小学生 小学生
10. つなひき 全園児
11. 玉入れ 全園児
12. 学級対抗リレー 父母
13. リレー 風組
14. おわりの会

種目は各年齢の発達の様子や、日常の体育活動が見えやすいようにと工夫しています。
各年齢ごとに集団競技と個人競技を1種目づつ、全園児で取り組むものが2種目(綱引き、玉入れ)、そして父母、未 就園児、小学生の参加する競技を1種目づつ加えた構成になっています。


種目解説

●花組(3歳児)
のぼって ジャンプ

体育的な活動として入園以来取り組んできた内容(タイヤを跳び越す・グーパー跳び・跳び箱)を障害走として組み合わせ、種目化したもので す。両足をそろえてタイヤを飛び越し、ぐーぱーはリズムをつけて左右の足がバラバラにならないように意識して跳びます。そして、6段の跳び箱をよじ登ります。3歳児にとって、小学校低学年用の跳び箱の6段の 高さは「とっても高い」ものです。その高さに、がむしゃらに全身で挑み、そして、その跳び箱の上から勇気をだして、高く遠くに飛んで降りる子どもたちです。

ねことねずみ
集団遊びの鬼ごっこを競技化したもので、「引越し鬼」とも呼ばれる遊びです。掛け声の合図で、ねずみ役は家から家に移動し、その移動中に、猫役が、ねずみ役を捕まえます。捕まった「ねずみ」は「ねこ」にな り、ねずみがいなくなったらおしまいです。
3歳児は、少人数でする追いかけっこは大好きですが、追いかける側が多いと怖くなって泣き出すこともしば しばあります。そのため、鬼ごっこの面白さを子ども達に伝えるには、追いかける面白さを十分に体験させることから始めます。先生を追いかけて、次に追いかけられても平気な子を逃げ手にして追いかけます。そ して、「逃げるのも面白そう」と言う気持ちが起きてきたのを見計らって、捕まえられたら交代する鬼ごっこへと発展させていきます。

この鬼ごっこを始めた頃は、捕まえられるのが嫌で、「ねこ」役ばかり でした。そのため、担任も頭を使って、ねこに捕まらずに逃げた、ねず み役の子ども達を「逃げるのがうまい!走るのがうまい!」と常に話題にしてきました。そして、最後まで逃げ切った子どもは、ねずみのチャ ンピオンとして胴上げをするなど特別待遇をしました。すると子ども達 の気持ちも少しずつ変わってきて、ねずみ役が増えてきました。しかし、その分、捕まったときの悔しさは大変です。大泣きをしたり、捕まえた 相手を突き飛ばしたり、ふてくされたりしています。鬼ごっことわかっていても、そう簡単に気持ちが切り 替わらないのです。それが、3歳児なのです。それでも、仲間の差し出すお面にしぶしぶ「ねこ」になる子ども達です。

●鳥組(4歳児)
とんで はしって

鳥組では普段から、ケンケン跳び、ケンパー跳びなど様々な跳び方を楽しんできました。また、しだいに、大きさの違うケンパーにも挑戦するようになりました。丸の大きさに合わせて跳ぶには注意深さと体のコントロールが必要です。だからこそ、リズムにのって跳べたときの達成感は大きいものです。これに、片足で踏み切って高さを跳ぶハードル、と幅を跳ぶ川跳びが加わります。それぞれに異なる動きを連続させながら子どもたちは走ります。

ことろことろ
3人から4人が1チームになって、対戦相手と帽子を取り合う遊びです。仲間の動きに合わせて動かなければならないため、一人で動くときと勝手が違います。誰がどこの位置を受け持てば、すばやく動けるかを子ども達は相談しあって決めています。列が切れた時は、素早く体勢を立て直して、相手に挑んでいきます。転んでも、飛ばされても、「泣いている場合ではない!」攻守同時方式で行っていきます。

●風組(5歳児)
なわとび・走りなわとび

例年、運動会が終わると鳥組の子どもたちは真新しい縄を手にします。運動会で風組が見せた走り縄跳びに触発されて、自分達もと勇んで縄跳びを始めます。しかし、4歳児にはまだ難しい縄跳び。そう簡単に跳べる ようにはなりません。(5歳児ではなく4歳児で縄跳びを取り入れるのは、跳べないという壁にぶつかっても、自分なりのペースで乗り越えていく経験を大事にしたいという考えからです。)気持が萎えたり、力任せに跳ぶために息切れ状態で疲れ果てる子もいた鳥組時代。しかし、必ず跳べるようになるのが縄跳びです。風組2学期、再び縄跳びがクラスみんなの活動になると、色々な跳び方に挑戦して技術を高めたり、跳べる回数やスピードを競ったりと様々な楽しみ方をしてきた子ども達。縄がからんだときは、素早く体勢を立て直して跳び続けるように指導してきています。縄跳びは自分の可能性への挑戦でもありました。

リレー
ニコニコして走っていた顔が真剣な顔つきに変わってきました。抜きつ抜かれつの競い合いを楽しんでいるリレーです。一周約93mのトラックを全力を出して走りきることは、気持の持続力が要求されます。5歳児にとってはまだまだ難しいものがあります。けれども皆の力が合わさって全体の力になっていくリレーです。自分が力一杯走りきることがチームにとってよい結果になるのだということに気づくまでには、色々な過程があります。走るのが速い子もいれば遅い子もいる、だから、どんな順番で走ればチームとしてより速く走れるかを考える作戦会議も頻繁に行います。



連絡帳から:挫折を乗り越えたとき(父母から寄せられた運動会の感想より)

10日くらい前から「あと何回寝たら運動会?」とカウントダウンを始めていた娘のせいか家族中が、待ちに待った一日でした。グランドでの練習を重ねるたびに自信がついていったようで「今日は○○ちゃんに勝った。」「今日は○○くんより速かった!」と嬉しそうに語っていました。親の方は、ついこの間まで1~2回跳ぶのがやっとだった我が子がいくらなんでもそんなに速く上達するものかと、半信半疑でいたのです。しかし、本人のやる気と自信は誰が見ても日々大きくなっているようでしたので、運動会では、どんな頑張りを見せてくれるかとても楽しみにしておりました。特に、前日になると、やや興奮気味に「私、一番になってやるー。」と今まで見たことの無いほど、闘志を燃やしているではありませんか!これには驚きました。

親の不安
鳥組の頃、次々と縄跳びの出来ていく友達を横目に「できない」「つまらない」「出来る子にまかせればいいや。」と自信をなくしていく様子が見受けられ、中途半端な取り組み方でした。このままでは出来る子ばかりをうらやむだけでチャレンジする気持、そして達成した時の満足感を知らずに流されてしまう・・・と不安に思ったものです。
しかし、鳥組で味わった苦い経験は決して無駄ではなく、ステップアップの為の大切な時間だったのだとい
うことが風組になって本当によくわかりました。
努力をしなければダメなんだ、逃げていては前に進めないことを、娘は長い時間をかけて学んだのではないかと思います。そして、コツをつかみながら10回、20回と跳べる回数を増やすたびに、やれば出来ると言う自分に対する自信をこの時期やっと身につけることが出来たようです。これまでの道のりを振り返りながら、いろんな思いで運動会のスタートラインに立つ娘を見守っていましたが、闘志あふれるその走りは、想像していた以上で、思わず声がかれるほど大声で声援を送ってしまいました。

辛さを優しさにかえて
運動会が終わった今も、縄跳びに夢中の娘ですが、最近鳥組が初めて縄跳びにチャレンジしている話題をしてきました。「わたし、鳥組の子が1回でも跳べたら、すごいね!っ言ってあげるの。だって前に風組の人に1回跳べたとき、すごいね!って言われて嬉しかったから。」との事。鳥組のときに自分が経験したこと、挫折感、そして頑張れば出来るという確かな思いを、下の子どもたちに伝えてあげて欲しいなあと感じました。
そしてこれから始まる風組での取り組みに対しても、貪欲にチャレンジしていって欲しいと思います。