第14回 2015の夏~天野先生のひとりごと~

 ただいま入院中。
 2013年3月に腰椎変性すべり症のため腰椎後方固定術を行い、脊椎にスクリュを入れた。今回はそれを取り去る手術だ。

 当初、若い人は1~2年で除去手術を受けるらしいが、スクリュそのものは30年もつとのことで、高齢者の私は入れっぱなしでも問題はないとの説明を受けていた。
 それだけに、「除去する」話が出た時迷いがなかったわけではないが、体の中の異物の存在はやはり気に係る。そこで揺れる心をもちながらも除去手術を受けることにしたのだ。
 また、今年の夏は身の置き場のないほど毎日が暑い。その暑さの中どこかへ出かけるといった気にはなれないし、家にいても仕事の能率は上がらないだろうし、それならば温度も湿度も管理されている病院で避暑気分で快適に過ごした方がいい、と期待を膨らませながら入院をした。

 8月15日の土曜日に麻酔医から説明を受け、16日の日曜日2時に入院。そして17日9時から手術。前回の2回の手術(2回目の手術は2014年12月~2015年1月に人工股関節の手術を受ける)は痛みから解放されたいという強い思いからか覚悟がしっかり出来ていた。ところが、今回は手術も3回目となるのでゆとりはあるのだが、痛みがない分心のどこかがやけに怖がっていた。

 そのせいか手術室に入り看護師さんと言葉を交わしながらも、執刀医の松岡先生の姿を目で探した。しかし確認出来ないまま麻酔の威力に落ちてしまった。

 1時間後、手術が済んで病室に戻ったものの頭が朦朧としていて、痛みは感じないがひどく気持ちが悪く、半分闇の中にいるようだった。
 2年半前の手術は、午後からの手術だったため麻酔から覚めたのは夜だった。夜勤の看護師さんが看護してくれたのだが、初めての手術で体に管が数本もついて動きもままならず、骨を削ったせいなのか体が朽ちて行く様な言葉では言いつくせないような苦痛の中で数時間を過ごさざるを得なかった。
 しかし今回は、午前中の手術ということもあってか、手術後は看護師さんたちの細やかな看護を受けられ本当に有り難かった。
 ただ、麻酔のせいか吐き気が続き、血圧も低下していたのか動く度にひどい汗をかいた。平熱35度5分の体が37度7分~38度5分と信じられない程の熱が出ているのに、寒気もなければ大した不調感もなかった。それが取れたのは翌々日になってからだった。

 松岡先生が身体から抜き取ったスクリュを見せて下さったが、こんなものが体に入っていたのかとぞっとする部品(?)だった。(前回の手術前にどんなもので固定するのか見せられていたはずなのにどうも上の空で聞いていたらしい)
 その部品を手の平に乗せると、その重さはずっしり重くて恐ろしくなった。
 脊椎も辛かっただろうなぁ、穴を開けられ重荷を背負わされ、動きもままならず・・・それなのに一生懸命痛みが起きないよう守ってくれて、と言う思いが湧いてきて脊椎が愛おしくさえなって、今後は大事にしようと思っている。

 手術後2日目、痛み止めを飲んでいるせいか、行動を規制するような痛みは全く起きない。
 リハビリは術後1日目からスタートしたものの、吐き気が治まってからはスポーツジムに通っている様な気分で楽しんだ。とは言っても2回通っただけだが。

 痛みもなければ傷口も問題なく回復しているようで、金曜日(術後4日目)午前中に退院することになってしまった。
 抜糸まで入院していたいというのが私の希望なのだが、先生にしてみれば、「病人でもなくすこぶる元気な人のいる場所ではないですよ」ということなのだろう。
 でも、お陰で、これまでなかなか進まなかった保育実践の指導書を3本書き上げられ読みたいと思っていた本も3冊読むことができ、刻々と変化する空を毎日眺められた、とっても有意義な2015年の夏休み・入院生活であった。

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