第3回 誇りの教え子、その心の育ちに感動~天野先生のひとりごと~

 現在高校生の四條尚彦くんが、部活の合間をぬって会いに来てくれました。

 小学校、中学校と野球などやった事もなかった尚彦君が、高校入学と同時に野球部に入部したことを知った時には、正直驚きましたが、野球部は野球部でもマネージャとしての入部だったのです。
 そのあたりのことは日刊スポーツ出版社から出ている『神奈川の覇権を奪え!』の中に詳しく書かれているのでぜひ読んで頂きたいです。

 尚彦君にまつわる面白い話は、沢山あるのですが、その中でも忘れられないのが彼が中学2年生の時の生徒会長選後のことです。
「先生と話したい」とやって来た時、丁度テレビ局の人が3人ほど見えていました。
昼食を取りながら尚彦君はその3人の大人(男)に真剣な表情でこう質問をしました。「皆さんは、今どんな事を考えていますか」と。漠然とした質問だった事もあって、3人の大人は、はぐらかすような曖昧な表情で意味もない言葉を発しただけでした。
尚彦君が何を考えていて、そんな質問をしたのか分からなかった私は「尚彦君は今何を考えているの?」と問いました。
すると、「自分は皆に推されて生徒会長選に出て、当選したのだけれど、相手は自分よりずっと成績も良いいい奴なんだ。ホントにこんな俺が生徒会長でいいのかと考えちゃうんだ・・・」とうかない顔。
「尚彦君、皆が君を選んだんだよ。成績がいいか悪いかではなく、尚彦君と言う人間が素晴らしいからと投票したんだと思うよ。選ばれたからにはその期待に応えて皆のためにしっかり仕事をすればいいんだと思うよ」と話すと、無言のまま頷いていました。
3人の大人は、そんな尚彦君に「大人!」「スゲー!」と大人げない発言。私の腹の中は「いい大人がそんなことしか言えないのか、しっかりせい!」と憤っていたのでした。

その尚彦君が、高校1年生の3月になってアメリカのコネチカット州にホームステーをしました。ホームステー先からも、はがきをもらいましたが、帰国後にも忙しい時間をさいて会いに来てくれました。
30~40分足らずで報告を聞いたのですが、ただただ感心するばかりでした。報告内容を要約すれば大体以下のようなことでした。
まず、単語が通じて何とかコミュニケーションできたけれど、やっぱりもっと心を通わせるためには英語力を身に付けたいと思ったと語学力の大切さについて触れていました。
次に、具合が悪くなって医者に診てもらったのだけれど、向こうの医者は「陽気ではな歌を歌っていた」というのです。そして尚彦君は、「日本では考えられない事だけど、具合いが悪く気持ちが落ち込んでいる時、明るくはな歌を歌っている先生を見ていると気持ちが楽になった」と心の内を語っていました。
そして最も驚いたことは、「野球部のみんなは一生懸命練習しているのに、自分を気持ちよくアメリカに出してくれた事を思うと、しっかり学んでみんなの思いに応えなければならないと思っている」ということでした。
そのことに私は最も身が引き締まる思いがしました。そして、「なんてお前はいい奴なんだ」と愛おしさが募って思わず抱きしめてしまいました。

尚彦君のお母さんは、「幼稚園で人としての基本を育ててもらったからです」と言ってくれます。
幼児期にその人間の根幹が育つのだから、“自分に誇りを持ってしっかり生きていける子に育てなければならない”との思いを持って子どもたちに向き合っているのは事実です。
でも、それだけでここまでしっかり育つとは思えません。きっと、尚彦君をとりまく沢山の、心優しい大人たちが尚彦君を鍛え育ててくれた結果だと思います。
尚彦君の今後の成長と、後に続く風の谷の子どもたちの今後が何よりも楽しみに感じた一時でした。

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