第32回 夏休み中は「親孝行」をするとき~天野先生のひとりごと~

 新型コロナ問題で神経を使い、子どもたちの活動をどう保障するかで知恵を絞って来た一学期。クラスに発熱者は出ているものの感染者はほとんどいない。
兄弟関係で濃厚接触者がでるくらいだったが、綱渡りしているような心境で毎日を過ごしていた一学期。それだけに、あっと思う間に終わった一学期。
 明日から子どもたちは来ないと思いつつも実感が湧いてこない。

 終業式は、風の谷アンサンブルのコンサートが終わった後に、気持ちを立て直してからスタート。
 まずは園長先生の話から。
「幼稚園がお休みになって、子どもたちみんなにやってほしい事があるんだけど何だと思う?」と声をかけると風組、鳥組の子どもたちは、これまでの終業式での話をしっかり記憶しているとみえて「早寝早起きをする事」と応じて来た。

「良く分かったね、でももう一つあるんだけどね」と投げかけると、「なんだったっけ」と仲間と顔を見合わせている子があちこちに。そんな中で勢いよく手を挙げたのは風組の心春ちゃん。
 みんなの視線が一斉に集まった。その視線に向かって「親孝行をすること」と胸を張っての答え。先生方は思わず「えっ、何?」といった表情。
 でも、私にはすぐ分かった。
 昨年の風組が演じた「親すてやま」の劇の中で、おじいさんのアドバイスを受けてさまざまな難問に応え、結果お殿様の考えを変えさせたという話を思い浮かべているのではないかと。
 そして、心春ちゃんの頭の中で、親のために一生懸命に働くその若者の姿に自分をかぶせて「親孝行」と言う言葉が浮かんだのではないかと。
 「そうだね、お父さんやお母さんのお手伝いをしてしっかり働くことが大事なんだよね。そう言うのを親孝行っていうんだよね。明日からお休みがずっと続くのだから、お手伝いをいっぱいして親孝行をしっかりして下さいね」と話を結んだ。
 親のために一生懸命手伝いをする。
 お父さんのために、お母さんのために、家族のために持てる力を発揮する。それが親孝行と言う言葉に結び付いて、受けとめられるなんてと、ちょっと心が楽しくなる出来事だった。

2022/7/20

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