昨今の幼稚園や保育園では給食が多い中、風の谷幼稚園のお昼は、お母さんのつくったお弁当です。
花組(年少児)のお弁当の中身は、フォークで刺して食べやすいもの(ご飯はおにぎり、卵焼きやウィンナーなど)を入れます。子どもが食べ終えた時に、“空っぽになった!!”ということが分かるよう、銀紙のカップや串、仕切りなどは使いません。
花組の9月頃からは“箸の取り組み”が始まり、箸を使って食材をはさむ技術を身につけていきます。
“箸の取り組み”では、フェルトで作られた食材が教材として用意され、箸でつかむ、すくいあげるなどの技術を習得していきます。その過程を経て、花組のうちに全員、箸の持ち方を正しく習得し、食事が出来るようになっていくのです。
食べる技術とは、箸の持ち方と同時に箸の使い方、食器(弁当箱)の取り扱い方です。
弁当箱が動かないように端を押さえて食べ始め、量が少なくなったところで弁当箱を持ち上げてごはん・おかずを集めて口に運びます。
遠足で園外に出て昼食をとる時、地面が傾斜していたり雑草が茂っていたりすることもあります。また園舎の中でも机の無いデッキなどで食べるという事もあります。
弁当を片手で持ち上げて安定して食べるには、背筋を伸ばして座って食べることが大事です。そのため“正座をして食べる”こともあります。3~4回の経験で子どもたちはすんなり取り入れていきます。どんな場所でも体を真っすぐに維持さえできれば安定して食事が出来るようになっていきます。
鳥組(年中児)になると、全員箸がしっかりと持てるようにもなり、お弁当の量も種類も広がります。「今日はおにぎり大きいの入れて欲しいなー」「唐揚げ入れてね!」など親子でお弁当の会話も増えていきます。
風組(年長児)になると、自分たちの次の日の活動の内容なども理解しているので、子どもから「明日は、お弁当少なめにしてね!お弁当の後、早く遊びたいから!」などと自分で食べられる量もわかり、親に注文できるようにもなります。
また、日々の活動の中で自分たちで漬けた梅干しを食べたり、育てた大根の葉を炒めたふりかけを食べたりと、自分の手で作ったものを味わっていくようになります。
他にも園で採れるたけのこやふきを先生が調理し、たけのこご飯やふきみそ、きゃらぶき、畑で育てた野菜を使った、きゅうりもみ、 ツナなす、間引き菜の味噌汁などを食べ、味覚の幅が広がっていきます。
三年間子どものためにお弁当をつくってきたお母さんたちからは、子どもが他の子のお弁当の中身をみて、「今度これを作って欲しい」など、食に対する興味がわいたり、食の種類を知るきっかけになったなどの声もきかれます。お弁当は子どもの食べる量の把握をしたり、内容を考えたり、母として子どもに想いを寄せる大切なものとなっています。